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 ある平日の深夜、俺は近所のディスカウントストアに来ていた。目的は服の購入、だが俺が着る服じゃない。おもらしした女性に貸し、服を脱がせる口実にするための服だ。いつ何があってもいいように、常に一つカバンに忍ばせておこうと思ってな。

 買い物を終え、車を停めてある屋上駐車場に向かおうと歩きだすと、一人の女性が目に入った。長い髪を後ろで縛り、白いゆったりとしたズボンを履いたスタイルのいい女性。俺の数メートル前を歩き、同じエレベーターへ向かっているようだ。
 あの手のズボン、陽に当たるとだいたい中が透けるんだが、あまり気にしない女性が多いのはなぜなんだろうか。

 俺の予想通り、その女性はエレベーターのボタンを押した。女性に続いて俺もエレベーターへ乗り込み、階数ボタンを見る。屋上か、行き先も同じようだ。扉がゆっくりと閉まり、体に若干の加重を感じ始めた、そのときだった。

(ガタンッ)
 
「きゃっ!?」
「!?」

 突然、室内に大きな衝撃が走ったかと思うと、エレベーターはそのまま動きを止めた。だが、扉は開かない。屋上の少し下であろう場所で、静かにそこに留まっていた。これはまさか――

「故障、ですかね」
「そうみたい、ですね」

 顔を見合わせ苦笑いする。これはもしかすると、使えるんじゃないか? 平日の深夜で人も少なく、このエレベーターを使う人は多くないはず。なんとか時間を稼げれば……

「緊急ボタン、押してみましょうか」
「ああ、俺がやってみますね」

 扉の横に素早く移動し、彼女の動きを阻止する。俺は緊急ボタンについているカバーを上げ、ゆっくりと指でボタンに触れる。そして力一杯押す、フリをした。

「ダメですね。ボタンも故障しているのか、鳴りもしない」
「そんなぁ」

 彼女はがっくりと肩を落とし、その場にしゃがみこむ。俯くことによって白い首筋が露出し、俺にスキルを使えと囁いているようだ。

「大丈夫ですよ、すぐに助けが来ます」

 俺はそう言って、左手を彼女の背中に伸ばす。ほんの少しだけ、指が首筋に当たるように――

ーーー

「くっ、ふぅ……」

 いつもどおり、効果はすぐに現れた。スキルを発動して一分もたてば彼女の落ち着きはなくなり、甘い吐息が漏れ始める。
 彼女の名前は結城遥というらしい。俺より少し年上の二十七歳で、某有名ブランド勤務のようだ。清楚な服装に美人系の顔は高嶺の華といった感じがする。

「大丈夫ですか? 体調悪そうですが」
「あ、いえっ、だ、大丈夫です……うぅっん……」

 もじもじと足を擦り合わせるたび、遥の履いているズボンがわずかに音を立てる。遥は俺が見ていない隙に足を動かしているつもりだろうが、狭いエレベーター内で音は響き、バレバレだ。
 わざとらしく俺が扉の方を向けば、遥はここぞとばかりに秘部に手を当て、必死に尿意を押さえ込む。動いていないはずのエレベーターは、遥の足踏みで細かく揺れていた。

「やっぱり、なにかありました?」
「い、いやっ、何でも……」
「本当ですか?」
「ほっ、ほん、うっ……」

 遥に歩み寄り顔を覗き込むと、遥は両手を前に出し、俺から距離を取ろうとする。だが、ここはエレベーター内、下がれる距離はほとんどないことを遥は焦りから忘れてしまっていたようだ。

「あ、あの……きゃっ!?」

 勢いよく、想定していなかった壁にぶつかり、遥は小さく悲鳴を上げた。かと思えば、口を固く結び腰を屈め、秘部を押さえる。

「ぅ、出ちゃ、ぐぅ……っ」



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